ALL DAY!!

本当と嘘のあいだで、どこからか聞こえた音を書き留める。

【未完メモ】ヴァグラント

 

多分後でちゃんと書き直す


a new musical「ヴァグラント」

○a new musical ○

元々ポルノのファンなのでそれ目当てで行ったところもあるんですが板垣さんはよくここまでまとめて下さいました…とはいえ突っ込むべきはあるんだけれど、ゼロから出来上がるところを見せてもらったからそれ含めてよく出来上がったなぁと感慨深い
アミューズが日本で新作ミュージカルを打つっていうのはそれなりに大きなプロジェクトでもあるからこうして1つの形が出来上がった、ということに対しての評価はある

そういう新しい場を作ったのがこれまたポルノグラフィティのギタリストだったり、キャスティングも様々な畑で活躍する人を揃えていて本当に様々な要因を含んでいた。
見る側も様々な視点や場所で見ることで今までの概念を一度ひっくり返す機会にもなったな〜と

「新しいミュージカル」と言うこともあるけれど、キャスティングされた皆さんの遠慮のない舞台へのぶつかり方が気持ちいい。型にはまらない現場だからこその空気感。
物語に対して曲のポジショニングが新鮮、固定概念やルールを飛び越えたものであること「THE POP」な感覚で手に取りやすい

新しいことを恐れていないか、一歩前に進んで視点を変えてみないか

○メモ○

高校野球のニュースをみながら現代の格差みたいなことを考えた時、「100年先のあんたに聞くよ」はちゃんと着地点が現代にあったし令和に投じるいいテーマになっていた

今一度この物語の本質がどこにあるか?を教えてくれる「あんたに聞くよ」というナンバーが二幕頭にあることその中でも「日本の子らよ幸せであれ」のソロパートが心に残る

ここまで解釈してて、じゃあミュージカルを見たことのない層はどう感じたか?が気になる。
どうしてもあれこれ求めて解釈してしまうオタクなので深堀りすることを前提に見に行くから話がこんがらかるだけで、もっとライトにみたらこのぐらいの情報量が良いのかもしれない。
「マレビトという存在がバラバラだった幼馴染やヤマの人たちの心を一つにする心温まるファンタジー
多分それが一番最初の答えなんだろうなあ、とはちゃんとわかっている!けど!深堀りさせてくれ!!と私が騒いでいる

サンバラのところ「眠祭」って単語あったけど一体どんな祭りなんや
チサの葬送もそう、「苦しませないでやってくれ」と言われるのは何故
葬送の儀式はとどめを刺すものなのだろうか
生きさせようとするトキ子に「苦しませることになる」という佐之助のセリフも気になる
死期を伸ばすということは苦しめることなのか?

もののけ姫とヴァグラント
→桃風の「人は怖いーーー」のセリフがサンの「人間は嫌いだ、でもアシタカは好きだ」がマレビトの言葉に繋がるなあというところから、ヤマがタタラ場で差別は必要ないと言っている譲治のような人もいる

○ポルノと合わせて○

ポルノでよく言う「この時間は、この時間は自分に正直でいられる」の時間

ポルノで使わなかった曲もあってその逆もあって、もしかしたらこの曲を岡野くんが歌っていたのかもしれない...という不思議な感覚がある。
あ、ポルノだなと思ったのは二幕のアケミのナンバー、そこからの3人がダイナマイトを抱えて歌うナンバー
(ポットキャストで「板垣さんにポルノっぽい曲を...」と言われて作ったのねアケミの曲)

「格好つけるということは、つまり自分を欺かないこと」この歌詞がまさに新藤晴一だなあとその知っているようなメロディに載せられて感じたんだ
→「日本語がオリジナルのミュージカルソング」
演者も言葉に思いを乗せやすく、こちらと聞き慣れた言葉選びで耳馴染みがよい

「月」
ポルノ、というか新藤作詞曲にはよく月が出てくるんだけどミュージカルでもしっかり月を軸に幼馴染3人を映し出していて。月の裏側→月への誓いの歌詞をもう一度ちゃんと知りたいなと今思っている所

○登場人物○
桃風がシングルキャストであることの意味。
佐之助に対して決してぶれない。
桃風「人様を大切にしなければ自分を大切にできない」「人様を知らなければならない」
騒動が起きたとき桃風が「もう帰りたい」ではなくこの出来事にちゃんと責任は負わなきゃなって顔をしてたな
ダイナマイト回し蹴りが異常にかっこいい
最後ことの成り行きを説明できたのは桃風が人様に歩み寄った最大限の近さなんだろうな
桃風の持っている恐怖感は寄り添うと言うよりは薄い壁の向こう側にいる様で、自分では理解できても心を騙すほど器用ではないんだろうなと。ちゃんと距離を置いて自制出来る。
佐之助と一緒にいる事で自分の軸がブレていくのも不安だったろうな、その気持ちをちゃんと飲み込んで乗り越えられる姿も、それは怖いことだけれどねと言える姿も憧れる。

森田さんがかっこいい件
地の底から響くような低音ボイスからの暗くて狭いが迫りくるナンバーの圧倒さよ、汗や土や色んな物が混ざった匂いを感じさせてくれた
背中が男前すぎる、チサへの父性がやさしすぎる、飛び蹴りかっこよすぎる
最前下手でみた経営陣を許せない顔つきがなんとも言えぬ悔しさや怒りに溢れていた
チサは創造主がどうしたって救ってしまう→救えなかった世界線もあるのか?→森田親子みてたらそんな世界線考えた私が野暮だった

健三郎の怪しさ
結果としてヴァグラントの悪であったわけだけど、会長に利用された人でもあるんだよね…と、事件の後の過ごし方はアレだけど
これは2回目の観劇以降ちゃんと見れたんだけど、アケミの店で10年前の事件の話になったとき険しい顔でお酒を口に含む姿がなんだかずっと怪しく見えた
それと別件でアドリブシーンの笑いがまだ残っている舞台と客席の空間を平岡くんがその台詞の声色でちゃんと締めていったのが凄くって

アケミの孤独もなかなか深いところあるのに、なんであんなに包み込むような気高さがあるんだろう
プレゼントに囲まれて満たされぬ表情をしているアケミを誰か抱きしめてくれたら、という所に血を分けた弟が甘えに来てくれるのも何か切なかった
ちゃんと「姉と弟」であったら、政則もアケミも素直になれたのかな

廣野/美弥ペアはどちらも王道ミュではなく、それぞれ特殊ミュ出身だという異質感

○譲治と政則そしてトキ子○
政則の白のスーツとヤマの色が対比になっているのは、当たり前のように解りやすい。
政則が最初に歌う「私が社長」ソング、まさにわかりやすい「ボンクラ」社長っぷりを演じていて、そこからの月への誓いの覚悟を決めた姿への成長っぷり。
髪を振り乱し守りたいと歌う姿は一皮向けた、というにふさわしかった。
政則は一度ヤマを出て、学び俯瞰で物事を動かすことができるひと。
社会経験も得て色んな世界を見て現実的な理想をちゃんと伝えようとする、それはヤマの皆にはわからない。

一方譲治はヤマで育ちヤマで生きる。作中「学ぼう」という姿勢が見えるのは、学校へもいけない(女たちの歌より)中そばには政則がいて勉強の機会がきっとあったのだろうなと思わされる。それはきっと東京とヤマでも手紙とかやりとりしてたのかなあ、とも思うし。
けれどやはりそれには限界もあって無産階級だからこその信念が根底にあるだろうし。
その2人のすれ違いがよくわかる1幕そして、想いをひとつにする月への誓い。

そんな中トキ子への解像度が弱い。脚本としてもこの3人は重要人物なのに。
プロットには転校生だった、とあるけれど「三つ葉炭鉱の三葉トキ子」という名前も気にはなるし、ヤマの仲間内でも中立的な立場に思える(トキ子を巻き込みたくない等々)
回想シーンも
譲治「ちゃんと働いて、お金を稼ぎたい」
政則「ちゃんとお金を払って、働いてもらいたい」
に対して頷くだけ。

トキ子はなぜ取締隊なのか
もしかしてトキ子の両親がその立ち位置だったのではないか。取締隊だったからこそ10年前炭鉱内にはおらず健三郎の悪事を見てしまった。そう考えられるのではないか。
と、なると三葉家のヤマでのあり方は見えてくる気がする。
ただプロット的には転校してきたことになってるから元はヤマ育ちではないのかなぁ?

政則といえば薬を盛られたトキ子に対して結構な激しい情を表にしていたな、けどまぁ蔑まれる存在のマレビトになんか変な薬飲まされたら誰だってあぁなるか…
うっかり催眠術にかかってしまうトキ子はさっきまであんなに人に対して警戒してたのに?!って思うけど…

結局ここの三人は三角関係にあったのだろうかとずっと考えていて、政則→トキ子は明確だとして他はどうなのだろう?と
ムキちゃん!のシーンでは譲治も割とドライに「ムキになってる」と崎嶋さん側についているように見えるけれど「守りたいお前を」でトキ子の腕をしっかり捉えているんだよね...
けれど政則のプロポーズでは悔しそうな表情見せず喜んでいるようにも見える、そうなると譲治→トキ子が友情の愛みたいなところなのかなあ
とはいえ譲治は炭鉱メンバーではそれなりの立場であっても独り身っぽい
トキ子はどうだろう...プロポーズに対して意識はしているけど恋愛感情に疎そうというか。多分それは今まで自分を自分で呪ってしまっていたから感情がまだ整理できていないようにも思える。

譲治のうたが透き通っていてシンフォニー始まりの「おふねのえんとつ」がとてつもなく泣ける
譲治の中の一番輝かしい希望に聞こえる

○マレビト○
マレビトはなにか不思議な力を持っていてそれが恐怖の対象となって差別されている、というのもあるのかなぁ
祝い事だけではなく、死を連想する場にいるから人間の「穢れ」の部分にいるから差別されている、というのはわかるけれどその不思議な力をもっているというのも要因なのかもしれない?
そうすると佐之助が「記憶はないけれどもしかしたら」の部分は初めて力を使ったワンシーンにも思えてくる

最後「もう平気」と綺麗に終わらずに「まだ人が怖い」と言い切るのは新藤晴一の美学だなぁと感じた
(それこそダイアリーの歌詞もそうだけども)

お衣装は佐之助/桃風で阿吽になっているとか、ヘアメイク構想の段階でタトゥーが出来上がったかも?とか
実際をみて、そこから新藤晴一の頭の中でなにか設定が増えてたりするのかも?とも思う

マレビトが新藤晴一の投影ならば、新藤さんはマレビトを通して何かを伝えようとするし、我々とマレビトと自分を重ねて何かを思ったりするから
マレビトと一人一人の観客の気持ちが合う瞬間ってとても心地よくて
私はそれが廣野佐之助で寂しさや闇や静かな悲しみ、それらを抱えてなお誰かとつながっていたい楽しくありたい。という姿に自分を投影していた
→だからこそ最後「丸をつけましょう、俺が」の優しい声が心を掴み離れない、こんな私なんかでも生きてていいんだぐらいの救いになる
→→それこそ板垣さんがそんな感じのことを言っていたらしい「例えば今日死にたいと思っている人がこの舞台を観て、明日まで生きてみようかと思うくらいには変えられると信じています。」(廣野くんインタビュー より)

佐之助はずっと人間に張り付いた仮面のその下を知ってみたいって思っている
佐之助を叩いていたのはその人間たちだとしたら、その同じ類の人から否定されたら苦しくなるのは染み付いてしまったものなのかなあ
また知らぬ間に人を攻撃してしまうかもしれない我を忘れてしまうかもしれない怖さ
「牙をむきなさい、それは許すということよ」があの佐之助の笑顔なのだろうか

廣野/平間インタビューより
【えんぶ】コロナ禍での僕らの立ち位置を連想しましたよね。求められる瞬間は必ず訪れるんだけれども、不要不急と退けられもする。その芸能の儚さのようなものが描かれていて。

ところで親分会議とはなんなのか、松と香はなぜ「元マレビト」「はぐれマレビト」なのか
松と香は親分会議に遅れて破門になったみたいな過去がありそうなひょうきんさがあるよねと今の所掘り下げている

○二人の左之助

共通して言えるのは2人とも普通ではなくロックなところがあるという、それはきっとロック畑にいる新藤晴一から生み出されたキャラクターだからこそのキャスティングなのでは
「ふたりとも普通に本が読めない」from ポットキャスト
なんだか風神雷神のような存在→日比谷フェスで廣野くんがふざけて「なっちゃいましょうか風神雷神」って言ってたなあ

【廣野佐之助】
桃風とはニコイチ、阿吽なんだなとちゃんと思える、ちゃんと弟分感
お互いに居ないと生きていけなさそう、メンタル的な依存感?繊細さがある
思慮深いけど結構気持ちは真っ直ぐど直球熱い、あわよくば目立ちたいけど桃風にめっちゃ見張られている
冠婚葬祭なら見送る場やサンバラのようなまじないの場合が合いそう、陰陽の「陰」
最後の好きなのか?は半分冗談半分本気で桃風は意識しちゃいそう
炎と駆け抜ける風
なぜそんなに噛み付くように怒りに囚われそれでも人間を知りたがるのか、めちゃめちゃ人を疑っているからこそ本能的に知りたがってて、「人が怖いから知りたい」というリアルさがある
恐怖が側に寄り添っているよう
バッと目を引かせる主人公感はすごい、キラキラ輝いている時があった
あわよくば目立たんとする佐之助かわええ
誰かが側に居ないと本当にしんじゃいそう
自分と桃風のためにだけ泣く
吸収力が強い気がする
クロバットは宙返り
花火の合図は飛んでパン!(客席にむかって)
マレビトの矜持は最初から舞台を広く使っているようにおもった

【平間佐之助】
桃風とは同等な立ち位置、興味に動くから時々桃風置いてけぼりになる
穢が無いのに狂ったところもあって人間離れしている
人間をなぜ知りたいのか、に対して前向き、興味から動いている様子が廣野とは全く違う
衝動的で興味を持ったら引けなさそう、人との距離感はバグってる、けど根底がマレビト側だからか一歩引いている時もちゃんとあるよね
「おふねのえんとつ」に対してとても純粋に感動している
冠婚葬祭なら明るい場所が合いそう、カラッとしてる
最後の好きなのか?は結構真剣なのに桃風に取り合ってもらえなさそう
THE座長だな、と思うのが全体のバランスを見て演じているところ
マレビトとしての覚悟がすでに決まっている
ずっと笑顔でいるのが何故か怖い、笑顔に影がありそう
炭鉱メンバーに喧嘩なら任せとけ!って言うときの説得力は男前佐之助だからちゃんとしっくりくる
時々垣間見える男らしい佐之助は頼もしくも見える
人の為に泣ける
クロバットは舞台を横断するような前転からの技もの
花火は指笛(舞台の奥中心で)
マレビトの矜持はまずは真ん中でしっかり魅せてから駆け出していくような